あるリスナーの話

僕は、ライブハウスの空気そのものが耐えられなかった。

 

手をあげなさい、手拍子をしなさい、一緒に歌いなさい、などなどそんな苦しいことできない。できない。

 

そういう人達を否定する権利なんかは僕にはないし、その人達にはその人達の考えがあってやっているのは分かっている。

 

例えばこうすることで君に楽しい気持ちになってくれるとか、これでその場に一体感が生まれるとかね。

 

でも僕にはそれが辛くてたまらなかったよとだけ。

 

もし、あの時僕一人が違う行動をしたとする。


そのせいで周りの空気はしらけ、僕は悪者になっていただろう。

 

だから無理してでも、周りにあわせてしまう。

 

みんながやっているから、自分もやらなければならないという同調圧力そのものだった。
やりたくもないのにやっている自分一人だけ、すごく浮いている気がした。

 

じゃあお前はライブを見に行くなというのが正論だし、みんなが楽しいものを楽しいと思えない僕が悪いだけなのだ。

 

僕は本当に音楽が好きなのか分からなくなってしまった。


だけど、これだけわかることがある。僕は初めからそんなやつではなかった。

 

わざわざ人がいるところに行ってみんなでワイワイやるようなやつじゃない。

 

もちろん、音楽を生で聞くという感動に勝るものはないと思う。

 

だが、イヤホンから流れる音楽、辛いときに自分に寄り添ってくれる音楽、散歩をしながら聞く音楽、寝る前にウトウトしながら聞く音楽もなんとも言えない気持ちにさせてくれる。

 

僕は高校時代は、内向的で陰湿な性格でみんなが好まないような音楽をネットやCD で聞くことが多い人間だった。

 

そういう人間は僕以外にも少なからずいる。

 

僕はそういう人間であっても聞けるような音楽が増えてくれたら嬉しいなと思いました。

 

 

 

いや、思いました。じゃない。
頼むから増えてくれ。
僕も駄目なりにやってみるから。